兵庫県丹波篠山市
設計|澤村昌彦建築設計事務所
施工|ASJ京都西スタジオ[京都建設株式会社]
所在地|兵庫県丹波篠山市
主要用途|專用住宅
家族構成|夫婦
設計|澤村昌彦建築設計事務所
担当|澤村昌彦、玉田倫世
構造|青山建築構造事務所
担当|青山正巳
施工|ASJ京都西スタジオ[京都建設株式会社]
担当|水谷智己
設備|岸本設備
担当|電気 有限会社野間電気
外構・造園|• 1 moku / 岸本英夫
担当|酒井勝孝
担当|菅宏文
構造•構法•規模|木造 地上1階(平屋)
軒高|4,500mm
最高の高さ|4,820mm
敷地面積|860.97 m
建築面積|233.75m(建蔽率27.15%許容60%)
延床面積|208.49m(容積率21.89%許容200%)
1階|208.49 mỉ
主な外部仕上げ
屋根|ガルバリウムスタンディングシーム葺き
外壁|アクリル系左官仕上げ
二丁掛|レンガタイル張り
開口部|木製サッシュ
…
田植えを終えたばかりの水田の先に建つ切妻屋根の平屋。
背後には鬱蒼とした鎮守の森がそびえ、琴線に触れる日本の原風景が広がる。
住まいの主は、海外を含め、これまでに計7回の引越しを経験したI様夫妻。
旧街道沿いの静かな土地は、ご主人が幼少期を過ごした場所だ。
南側の水田からの眺め。母屋の奥にこんもりとした神社の森が見える。
関東の都市部に本宅を構えるI様夫妻にとって2度目となった自邸建築。1軒目は地元工務店による注文住宅で、出来上がりに満足してはいたが、敷地的な制限で存分に遊び心を発揮できないところもあった。ご主人は長男で、将来的に地元へのUターンも考えていたため、「次に家を建てるときは建築家に頼んでみよう」と密かに考えていたそうだ。
ひとり暮らしのお母様が高齢になり、実家の建て替えが現実味を増すタイミングでASJの建築家相談会に参加。東京と大阪で数回イベントに足を運ぶと、I様が伝統と近代的な美意識が調和する京都の付まいに憧れていることを知るスタッフから、京都在住の建築家・澤村昌彦さんを紹介された。
京都の事務所を訪ね、お母様との同居を希望していること、和風でも洋風でもないニュートラルな家”にしたいことを伝えると、意向を汲み取った澤村さんは、その場でデッサンを描いて見せてくれた。後日、提案されたプランにもその時の対話はしっかり反映され、「澤村さんはこちらの意見を聞いてくれる人。この人となら細かいところまでじっくり相談しながら家づくりができそう」と感じ、正式な依頼を決めた。
正面に庭を望む南向きのLDKを中央に置き、親と子世帯の住空間を東西に振り分けたコの字型の間取りは、アメリカ赴任中に暮らした中西部の平屋を下敷きにしたもの。広々としたワンフロアのリビングダイニングは、屋根勾配に連なる高天井やハイサイドライトがもたらす光と風で開放感あふれる仕上がりだ。
庭と、その先の山々へ視線が広がる大開口は、日本の既製の窓に常々馴染めなさを感じていたご主人が特にこだわった場所だという。
「日本の窓はとてもプァ(Poor)で、家から外の景色を楽しむようにできていないんです。この家に遊びに来た人は口々に"景色がいいね”と言ってくれるけれど、ここで育った僕だって、今の家で暮らすようになって、ようやくこの景色を素晴らしいと感じるようになりましたから」
LDKの大きな窓から外へと視界が広がる。ハイサイドライトでキッチンにも光を届けている
美しい窓は風景を切り取る額縁のようなもの。深い軒がリビングに差し込む光を調整し、窓外に広がる風景を際立たせている。
非日常を演出する暖炉もリビングの見どころ。庭が静かになった冬、新のパチパチ燃える音と香りを楽しみ、炎を眺めて過ごすひとときは何にも代えがたい贅沢な時間だ。暖炉を覆い、リビングのアクセントにもなる縦張りのレンガタイルは、外壁と共通する素材で、外と内に自然なつながりを生み出している。
冬の夕暮れ時、リビングの暖炉に火が灯る。
「壁の素材や張り方は澤村さんの提案です。サンプルを見ながら、逐一相談しながら決めることができたのがよかったと思います」
①間接照明を活かしたホテルライクなトイレ。棚にはクッチーナの天板と面材を使用。
廊下から玄関を見る。イタリアンスタッコの壁が光を柔らかく拡散する。
庭を望むオープンスタイルのキッチンには「できるだけ生活感をなくしたい」という奥様の希望を盛り込んだ。キッチン面材の配色や磁器質の床タイルも奥様の采配。洗濯機が置ける広いユーティリティ兼パントリー(食品庫)や扉付き背面棚で収納を確保し、ノイズレスなキッチンを実現している。
「(同事務所の)玉田さんが女性の視点でいろいろ提案してくれたので助かりました」
キッチンはクッチーナでオーダー。奥様の希望で収納を多くし、床は大判タイルを選択。スイッチプレートの配置も、澤村さんに数パターンを提案してもらい検討した。
竣工から4年が経ち、今春仕事をリタイアしたご主人は、より多くの時間をこの家で過ごすようになった。
早起きして朝食をとったあとは、庭へ出るのが日課。「花がらを摘んだり、雑草を引いたりしているとすぐに1時間くらい経ってしまうからね」とご主人。夏にはテラスに大型パラソルを設置する予定で、自然に囲まれた平屋での暮らしはより充実したものになっていきそうだ。
縁なしの琉球畳がモダンな和室。庭を眺めつつ、ストレッチするのが朝のルーティン。
庭を眺めつつ、廊下を通って書斎、寝室へ。引き戸は圧迫感のない格子戸に。
お母様の仕事場だった部屋を、焼き物のコレクションルームに模様替え。
お母様の仕事場だった部屋を、焼き物のコレクションルームに模様替え。
澤村昌彦(京都市上京区)
1960年京都府生まれ/1982年株式会社
中村設計入社/1991年株式会社若林広
幸建築研究所入社/1996年澤村昌彦建築設計事務所設立
敷地は丹波篠山の美しい田園風景が広がる、のどかな里山で、静力な旧街道の一角に位置します。今回はご実家の建て替えで、1様からの要望はお母様との同居。そしてこの美しい里山の風景を生かしたリゾート感のある週末住宅でした。
コの字型に計画された平屋の建物は大きな切妻屋根でシンプルに覆い、外観は周囲の街並みから突出することのないよう、植栽により埋没する仕上げとデザインを目指しました。北側と南側に庭を配置し、北側道路からは植栽によるバッファーゾーンを設け建物にアンローチします。また、その一角には鹿児島で買い付けた樹齢120年の蘇鉄(ソテツ)が存在感を醸し出し、建物とバランスよく共存します。
全面芝生が張られた南側の庭は、田園風景、川のせせらぎ、山裾へと視界が変化しパノラミックな景色が展開します。
建物は、大きく分けて3つのゾーンで構成されています。東側の来世帯とゲストルーム、それに続く和風庭園。西側の子世帯とガレージ、水まわり。そして建物の中心に位置するリビング、ダイニングキッチンと中庭からなり、すべての個室から庭を眺めることができます。建物のメインであるリビング、ダイニングにはタイル張りの暖炉があり、炎を眺めながらゆったりとした時間を過ごし、イタリアンスタッコの壁や大判タイルの床、木質の天井がリゾート感を演出しています。屋根勾配と連動する高い天井はハイサイドライトから
らかい光と風が流れ、コの字に囲まれた庭へとつながる大開口はメきく庇が張り出し優しく光を届けてくれると共に、美しい里山へと穏やかに視線がつながり四季を通して自然の風景を楽しむことがてきます。
竣工から4年が経つ今も本宅は関東に構えておられますが、現在に
1世帯住宅と構成が変わり、ご主人はほとんどの時間をこの住宅で追ごされています。家族や友人が時折集まり大切な時間を過ごす癒しの空間。そんな魅力あふれる場所になっています。
縁なしの琉球畳がモダンな和室。庭を眺めつつ、ストレッチするのが朝のルーティン。
庭を眺めつつ、廊下を通って書斎、寝室へ。引き戸は圧迫感のない格子戸に。
お母様の仕事場だった部屋を、焼き物のコレクションルームに模様替え。