神戸大学大学院教授で建築家の遠藤秀平氏が取り組む「アジール・フロッタン再生プロジェクト」は、
紆余曲折を乗り越え、ようやくここまでたどり着きました。
ASJでは2017年より本事業を支援しております。
プロジェクトの今後の展開に引き続きご注目ください。
アジールフロッタンがセーヌ川の水面に再浮上しました。2018年2月に水面下に姿を消してから2年10ヶ月が経過しました。
これまで2005年に初めてアジールフロッタンを訪れてから15年ですが、この2年10ヶ月はとても長い年月でした。
再浮上は稀にしか立ち会うことのできない、本当に嬉しい出来事です。
このコンクリート船が生まれてからこれまでの100年ほどの間で何度も廃船の危機に瀕し、水没後もセーヌ川河川局から解体撤去の申し出もありました。
また、文化や制度の違いによる様々な困難もありましたが、日仏で協力してくれる多くの人々の尽力により再浮上が実現しました。
これは奇跡と呼んでもいい出来事ではないでしょうか。
このプロジェクトに関与していただいた皆さんに感謝申し上げます。
今後は修復と復元、長い道のりが続きそうですが、アジールフロッタンを日仏の文化と建築の交流の証として、未来へ引き継ぎたいと考えます。この数奇な運命を辿っているアジールフロッタンに向けて、皆さんが関心を持ち続けてもらえることを願っています。
遠藤秀平